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遺言の必要性と『 遺留分 』について解説☝

遺言作成  は  必要?

遺留分 も 整理

うちは仲がいいから大丈夫。」「そんなに財産がないから争いなんておこらないよ。」と思われている方がほとんどではないでしょうか?

実はそれが大きな間違いの始まりでもあるのです。

近況は、核家族化や少子化が進み、また各人が仕事を得て日本(または海外)のどこでも生活しやすい環境となってきたことで、日頃からのコミュニケーションが低下してきていることや、親の住んでいる実家の跡を継ぐスタイルが減少傾向にあります。
いざ相続のときに、思いのほか揉める事例も増加しているというのが現実的なところなのです。
  
ご先祖様から現生の親族まで繋ぎ繋がれてきたご縁を、相続によって途切らせることだけはしたくないものです。大切なご縁をいつまでも、そして次の代に途切らせることなく引き継いでいきましょう。

 

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遺産の種類による争族

遺産が現金・預貯金・有価証券等の換価しやすい性質のものばかりであれば問題が生じることは少ないといえますが、遺産の中に不動産があるケースは、特に争いが生じやすいので注意が必要です。
   

相続人全員での話し合い



遺産分割協議を行う場合、まずは遺産全体を把握してから、その取り分を相続人全員で話し合うこととなりますが、その中に不動産がある場合に、その評価の方法が問題となりやすいでしょう。

例えば、預貯金1000万円と宅地1筆、建物1棟のみが相続財産の場合で、法定相続人は兄弟3人のケースでは、一般的に長男が不動産を相続し、将来にわたり管理していくケースが多いでしょう。その場合、預貯金は各相続人にどれくらいで配分されるべきなのでしょう?

 まずは、相続人全員が合意すれば、どのような協議内容でも有効ですが、1人でも合意しない相続人がいる場合には、時間をかけて調整が整わない場合、最終的には調停や審判に頼ることとなります。



相続人全員が合意しなかった場合



調停や審判などの裁判所手続きとなった場合、この不動産がどのように評価されるのでしょう?

長男は大変だから・・・不動産の管理費用も将来にわたってかかるから・・・だから不動産の評価は少なくしてあげよう。・・・なんてことは絶対にありませんので注意が必要です。

調停における不動産の評価方法は、土地については実勢価格を基準とする比較法によって、建物については原価方式によって算出されることが一般的です。

わかりにくいと思いますが、毎年市区町村役場から送付されてくる固定資産税納税通知書に記載されている評価額くらいで考えておけばいいだろう・・・というのは大きな間違えで、基本的には「不動産の時価」をベースに評価されることとなります。

よって、長男は不動産を全部もらうのだから、その評価は2000万円程度なので、残りの1000万円の預貯金をもらう権利はなく、むしろ、長女と次女に現金500万円づつを、借金をしてでも代償財産として支払わなければならないとの状況にもなりかねません。
   

遺言の効果的活用方法

 遺言が絶対必要ケース              
 
・法定相続人意以外の人へ財産を承継させたい場合
   例)孫・嫁・内縁の妻など
 
遺言が必要なケース
・子供のいない配偶者(兄弟姉妹との紛争リスク)
・自宅で家業を営んでいる(不動産・分散リスク)
・異母(父)兄弟姉妹がいる(感情的リスク)
・二世帯住宅に居住している
・推定相続人に多重債務者がいる
・行方不明者がいる(手続き煩雑リスク)
       
遺言があるといいケース  
・家系を維持したい
・姉がたくさんいる長男末っ子
・事業の跡取り(経営権・株式分散リスク)

      


上記に該当するお客様は、遺言を作成されることをおすすめいたします。
名古屋・栄ガスビ4階の相続あんしんサロンにご相談下さい。

遺言の限界=「遺留分」について

生前対策の特効薬として遺言の作成が行われますが、実はこの遺言も、万能とまではいきません。遺言をもってしても、遺留分を侵害することはできないのです。

遺留分は、一定の相続人に法律上遺留されるべき相続財産の一定部分であり、その相続人による遺留分侵害額請求によりその効果が生じる権利といえます。

この遺留分は、被相続人と生計を共にしてきたであろう一定範囲の相続人に認められており、残された家族の生活の安定・家族財産の公平な分配の要請から成り立っているといえます。

なお、被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

また遺留分は、自ら遺留分権利者が行使しない限りは、遺留分侵害額請求に伴う支払い義務が当然に発生するものでないのです。遺留分侵害額請求権を有する相続人が行使することではじめて発生する権利なのです。

遺留分を有する相続人は誰?

兄弟姉妹以外の相続人全員

  • 配偶者(妻または夫)
  • 直系尊属(父母または祖父母)
  • ※兄弟姉妹には遺留分は存在しません。

遺留分の割合は?

  • 直系尊属(父母または祖父母)のみが相続人の場合 → 法定相続分の 1/3
  • 上記以外(配偶者や子供)が相続人の場合 → 法定相続分の 1/2


例)被相続人は亡夫、相続人は配偶者・子2人の場合で、亡夫が遺言により内縁の妻に対して「私の遺産の全ては内縁の妻に遺贈する。」と書いていた場合、そのままであれば全ての遺産が内縁の妻のものとなりますが、配偶者と子2人が遺留分侵害額請求権を行使すれば、遺産全体の2分の1は、遺留分として、配偶者とその子2人に帰属することになります。

遺留分侵害額請求権の消滅時効はいつまで?

遺留分侵害額請求権にも時効の制度があり、いつまでも行使せずに放っておくと、時効により消滅してしまいますので注意が必要です。
 

  • 相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間
  • 相続開始の時から10年間(除斥期間)    

のいずれかに該当したときに消滅します。

1年の消滅時効や、10年の除斥期間を経過しそうなときは、いったん内容証明郵便により遺留分侵害額請求権を行使しておくことが重要となります。
    

遺留分侵害額の支払いは誰がするのか?

民法の改正前までは、遺贈や贈与がなされてきた順序に従い、遺留分の対象となる財産が決められるルール(不動産が対象になることもあった)でしたが、改正に伴い、金銭による侵害額の支払請求のみに一本化されました。

これにより、複雑な権利関係になりがちであった遺留分減殺請求権(旧法)を、金銭による支払い請求権利に一本化するとともに、早期の解決が望める制度に進化したのです。

また、遺留分侵害額請求を受けた場合、以下の順序に従って遺贈・贈与を受けた人から順番に支払いの義務を負担することとなりました。(民法1047条1項)

受遺者と受贈者がいるときは「受遺者」が負担する。

受遺者又は受贈者が複数人いる場合で、遺贈又は贈与が同時にされたものであるときは、その目的の価額に応じて按分負担する。

受贈者が複数人いるときは、後に(死亡日に近い日に)贈与を受けた者から順に負担する。

なお生前贈与については、相続人以外に対して行われたものは1年、相続人に対して行われたもの(婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本としての贈与)は10年、遺留分侵害額請求の対象になります。

遺留分侵害額請求権は生前放棄が認められています☝

生前になされた「相続放棄」は無効ですが、遺留分の生前放棄は、家庭裁判所の許可を受けた時に限り有効に行うことが出来ます。

ただし、実務上「遺留分の生前放棄」の家庭裁判所の許可を経る手続きの件数は、相続案件全体規模で考えると、非常に少ないといえるでしょう。☝

これからどうなるか確定できない将来の相続に関して、予め遺留分を放棄するように言われても、言われた側は「はい、わかりました。」とは確かになりにくいように感じますね。

遺留分を考慮した取り分と付言事項

  • 遺言を作成する際に、上記遺留分を十分に考慮し、遺留分に相当するであろう現金・預貯金等を、該当する相続人に配分する内容の遺言を作成することがあります。そこまでしておけば、将来の遺留分減殺請求リスクを限りなくゼロにすることができます。         
  • また遺言には「付言事項」を記載できます。付言事項として、各相続人への感謝の気持ちや、争いなく仲良くしてほしい旨を記載することにより、遺留分減殺請求を防ぐことができることがあります。
  • 遺言は法律論だけではなく、各相続人への心のフォローを行うための「心の遺言」と言えるのです。

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